キビカ_ブログ

Nov 29, 2016

三立木材株式会社


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90年の歴史ある、北遠地域の「家守り」

遠州地方の人なら誰もが知る、金原明善。天竜の山々に植林を行い、暴れ天竜を治めた明治の偉人。一方、天竜の山については、あまり多くを知らないのではないでしょうか。まちなかから遠くに天竜の山々は見えるけれど、多くの人にとってそこは馴染みのある場所とは言えません。

天竜川と山に囲まれた天竜二俣。製材された木がずらりと並んだ倉庫、味わいを増した木の事務所がやわらかな光に包まれています。ここは90年の歴史がある「三立木材株式会社」。材木屋からスタートし、今は新築やリフォーム、不動産開発・仲介・売買などを手がけています。この秋には浜松市東区にある、金原明善の生家敷地内にアンテナショップ「ひとてま」をオープン。木や食に関するワークショップなど、暮らしにまつわる情報発信にも積極的です。今回は、10年ほど前に家業を継ぎ、専務取締役である河島由典さんにお話を伺いました。

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“木材”という屋号に込めた想い

昭和22年に創業した三立木材ですが、前身は90年ほど前に始まった「富士中(フジナカ)製材」。山の形のロゴマークはその名残です。昔はこの辺りにも製材所が多く、天浜線で木材を運び出すなど、とてもにぎわっていたと聞いています。その後、安価な輸入材が主流となり、環境は激変。製材業だけでは厳しくなったこともあり、平成に入った頃、工務店と不動産業に集中することになります。古い業界にあって新しい分野への転向はとても勇気がいることだったと思います。しかし、昔ながらの材木屋は廃業してもう残っていないことを考えると、先人の決断は見事だったと言えます。

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工務店も順調になり、○○住宅など社名を変える案も出ましたが、結果的に三立木材という名を続けることを選択しました。そこには「天竜材を使った家づくりをしたい」という想いがあったからです。 “三立木材”という言葉からは、木をよく知る材木屋が天竜材で建てる家。木の香りがする家といった、材木屋ならではのストーリーが広がる、とても素敵な名前だと思います。

こだわりはいろいろありますが、1つあげれば「自然乾燥」です。ズブ生と呼ばれる伐採したばかりの木は、乾燥させずに使うと、やせて木が縮み、家が狂ってしまいます。乾燥には人工乾燥と自然乾燥の2種類があります。

人工乾燥は大きな窯に木材を入れて、重油を使って乾燥させる方法です。乾燥中、断面から水分が抜けぶくぶくと泡が出ます。蓋を開けると、少し焦げた、パンを焼いたような匂いがします。3週間ほどと乾燥期間が短くて済むのですが、香りが失われ、油分が飛んで木の粘りや艶が減ってしまいます。その対策として、今は中温や低温乾燥も取り入れられています。

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三立木材は、昔から変わらず自然乾燥。まずは「葉がらし乾燥」と言って、山で伐採した杉やヒノキを葉が付いたままその場所で半年ほど乾燥させます。その後、製材して倉庫で3年ほどゆっくり自然乾燥。表面が少し黒くなってきますが、使う前にひと皮削ると中はとてもきれいな色をしていて、香りもいいですね。

前職は外国材や集成材など、多種多様な木材を扱う会社にいました。これらの木ってほとんど香りがしないんですね。うちの倉庫には入るととてもいい香りがしますよ。自然乾燥の材を使った家は、香りが全然ちがいます。

山の価値を伝えていく使命

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天竜材は本当にいい木材です。温暖な気候に恵まれた天竜は、雪による根曲がりが少なく、まっすぐで節も少ない。ゆっくり育つので、年輪が詰まった粘り強い木になります。カンナをかけると輝くような色つやも特徴です。
そんな地元の木で家を建てられるなんて、浜松の人はとても恵まれています。吉野や尾鷲も人工美林として有名ですが、浜松のように木が育つ森と家を建てる場所がこんなにも隣接している場所は、全国的に見てとても珍しいことなんです。

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天竜材は高いと思われていますが、一般材と比べてほとんど変わりません。木が商品になるまでに3世代、70年ほどかかります。70年前におじいさんが植えた木が、今ほとんど値が付かない状況にあります。若いきこりの方もいますし、林業を、山のシステムを維持するためにも、経済的に自立させ、価値を還元していくのも僕たちの大切な役割です。環境的にも、経済的にも持続可能な森の維持管理を目指す国際認証であるFSCを取得したのもそんな理由のひとつです。

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住宅だけでなく、治水や飲み水など、山の恩恵は限りなくあります。山を守ることは、僕たちの生活を守ることでもあります。50年、100年という長いスパンで山は動いているので、気が付いたときにはもう手遅れだった……そんなことにならないよう山の価値をしっかり伝えていきたいですね。

山を意識する、その想いに共感

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7年前に建てたこの事務所は寒くて、暖房器具を探していました。そんなときペレットストーブのキビカを知り、「浜松の森のエネルギーで暖をとる」「北遠に自立した経済をつくりたい」といった、山に対する想いやビジョンにとても共感しました。仲間になりたかった(笑)そんなこともあって、ペレットストーブを導入するなら、キビカと決めていました。

新築やリフォームでお客さまにペレットを勧めることもあります。薪ストーブは1日家にいる方や店舗ならいいのですが、やはり住宅向けではない気がします。薪の用意は大変ですし、寒い朝、火を点けて部屋が暖かくなってきたら出勤する時間になっていたとか、嗜好品としては魅力的ですが、暖房器具という点では、ちょっと手間がかかりすぎるかなと思います。その点、ペレットは女性でも手軽に扱えるのがいいですね。

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今年から導入したので、デメリットはまだなんとも言えないのですが、しいてあげればメンテナンスですかね。それでも薪ストーブに比べたら灰も少なく楽なんでしょうけど。ただ僕が男性だからか、メンテナンスを楽しめるのでデメリットと言えるか分かりませんが(笑)コストが1時間50円ほどでエアコンの約2倍。その点をどう考えるかですね。うちの場合はペレットステーションにもなっているので、たくさんの方と出会えるのが魅力です。ペレット燃料はFSC認証の天竜材なので、炎を見るたび、少しでも山へ意識を向けてもらえたらうれしいですね。

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「家を通じて天竜材の魅力や価値を伝えていきたい」そう何度も語る河島さんの姿が印象的でした。かつて天竜で切り出された材は筏になって天竜川を下り、東区の材木町や中野町でも製材され東京などに運ばれていました。「山とまち、海は離れているように感じるけれど、天竜川を通じて繋がっている」そんな河島さんの言葉にはっとするとともに、天竜という恵みに抱かれた場所に住んでいることに改めて気づかされました。

三立木材さんでは、事務所にSS-10、ミーティングスペースにMUUMUUを設置いただきました。普段からご利用いただいておりますので、良いところだけでなく、悪いところのお話も伺えるかと思います。
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SS-10 ※大型ペレットストーブで事務所やアトリエにおすすめです。

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MUUMUU ※一般住宅のリビングダイニング設置向きです。

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MUUMUUは、ワンタッチで点火・停止ができる自動着火タイプです。

三立木材株式会社
静岡県浜松市天竜区二俣町阿蔵182
営業 8:00~18:00
TEL 053-926-1800
※事前にお電話でご予約の上、ご見学ください。
定休日 祝日、正月、ゴールデンウィーク
http://www.sanritsumokuzai.co.jp/

写真・取材・記事:大杉晃弘(写真と、企み


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